「宇宙と意識を考える——私たちは、なぜここにいるのだろう?」
第4回 宇宙は、自分自身を知ろうとしているのか
——宇宙が、人間を通して自分自身について考えている
前回は、「身体だけではなく、意識もまた宇宙の長い進化の中で生まれてきたものなのではないか」
というところまで考えてみました。
今回は、そこからもう少し大胆に考えてみます。
そもそも、なぜ私たちはこれほどまでに「知りたい」のでしょう。
美味しいものを食べたい。安心して暮らしたい。子孫を残したい。
生命として生きていくだけなら、それだけでもいいはずです。
ところが人間は、
「宇宙はどうやって始まったのだろう」
「生命はなぜ生まれたのだろう」
「意識とは何だろう」
「私はなぜ生まれてきたのだろう」
と考えます。
そして、答えが見つからなくても、また考える。
この尽きることのない「好奇心」は、いったいどこからやってくるのでしょう。
宇宙から生まれた私たちが、宇宙を考えている
少し視点を変えてみましょう。
私たち人間も宇宙の外側にいる存在ではありません。
私たちの身体をつくっている元素も、宇宙の長い歴史の中で生まれてきたものです。
つまり、
私たちは「宇宙について考えている、宇宙の一部」です。
これは考えてみると、とても不思議なことです。
約138億年前に始まった宇宙の中で物質が生まれ、星が生まれ、生命が生まれ、長い進化の末に「意識を持つ存在」が現れました。
そして今、その存在が夜空を見上げて、
「宇宙とは何なのだろう?」
と問いかけています。
これを逆から眺めると、
宇宙が人間という存在を通して、自分自身について考えている
とも言えるのではないでしょうか。
もちろん、これは科学的に証明された話ではありません。
ひとつの哲学的な見方です。
けれど、この視点に立つと、人間の「好奇心」の意味が少し違って見えてきます。
私たちの経験にも意味があるとしたら
私たちは一人ひとり違う人生を生きています。
生まれた場所も違えば、出会う人も違う。
嬉しいことも、悲しいことも、失敗することも、夢中になるものも違います。
同じ出来事を経験しても、感じることさえ違います。
もし宇宙が人間を通してさまざまな経験をしていると考えるなら、
一人ひとりの違いそのものに意味がある
という見方もできます。
誰かと同じ答えを出す必要はない。
それぞれが違う場所に立ち、違うものを見て、違うことを感じる。
その一つひとつが、この世界を知るための異なる視点になります。
だからこそ、
「私はどう感じるのか」
「私は何を選びたいのか」
「私は何を経験したいのか」
という問いが、とても大切になってくるのではないでしょうか。
「自分を知る」ことは、もっと大きなことかもしれない
私たちは「自分を知る」というと、
性格を知ることや、得意なことを知ること、本当にやりたいことを見つけること、
そんなふうに考えがちです。
もちろん、それも大切です。
けれど、もっと大きな視点から見るなら、
自分という存在を通して、この世界を知っていくこと
そのものなのかもしれません。
何を見て、何を感じ、何を選び、何を経験するのか。
そのすべてを通して、私たちの意識は変化していきます。
そしてもし、その一つひとつの意識や経験が、もっと大きな「宇宙の進化」の一部なのだとしたら。
私たちが生きるということの意味も、少し違って見えてくるのではないでしょうか。
「宇宙はなぜ存在するのか」を私たちが考えているのではなく、宇宙が私たちを通して、その答えを探しているとしたら?
そう考えると、
私たち一人ひとりの人生は、宇宙の長い歴史の中に生まれた、ひとつの「問い」であり、ひとつの「経験」なのかもしれません。
そして次回は、さらに不思議な世界へ進みます。
人間の脳の神経ネットワークと、銀河がつくる宇宙の巨大なネットワーク。
まったく大きさの違う二つの世界が、なぜか似た構造を見せます。
「人間の脳」と「宇宙」は、なぜ似て見えるのでしょうか。
そこから、宇宙そのものが「思考している」という可能性について考えてみます。
